ストーリー
二度目の召集を受けて、大作は再び戦場へ。昭和十八年のことだった。大作はそこで日本軍の捕虜となったイギリス兵たちに対する態度に、敵味方を超えた人間としての怒りをおぼえる。また、東洋の平和のためという大義によって始めた戦争でありながら、戦場となった国の人々に悲惨な思いをさせていることにも深い疑念を抱くのだった。
昭和二十年夏、すべては無に帰し、日本は降伏する。大作はイギリス軍の捕虜収容所を経て、日本へ帰りついた大作だが、祖国の荒廃は想像を絶するものだった。彼の前にも厳しい現実が待っていた。
大阪の店は焼失、父親も大空襲で死に、弟も戦死していた。とりあえず大作は五箇庄に店を移すが、戦後の財産税や農地解放によって財産の大半をなくす。「国家とは個人にとって一体なんなのか」。そんな思いに囚われる大作。だが、時間は待ってくれない。明日に向かって歩みださなければなかった。大作は、何としても近藤商店を立直らせようと決意する。だが、税金を滞納するまでに貧窮した店をよみがえらすのは至難のことだった。全国の得意先を走り回り糸口をつかもうとするが、思いだけが空回りする毎日だった
そんなある日、一人のイギリス人が彼を訪ねてくる。
〈カラー100分〉